「Chatter 頭の中のひとりごとをコントロールし、最良の行動を導くための26の方法」イーサン・クロス

「Chatter 頭の中のひとりごとをコントロールし、最良の行動を導くための26の方法」(2022年)イーサン・クロス

グレートキャニオン
自然を見て畏怖の念を抱くのは、ストレス軽減にも効果的

こちらもベストセラーとなっている、米国の自己啓発本です。簡単にまとめると、自分の頭の中で聞こえてくる、否定的な言葉や、緊張を煽るような言葉を消して、成功に繋げる方法が書かれています。自分を名前で呼んでみて、客観的に状況を把握するとか、自分なりの儀式を行うとか、緑を目にするとか、26の方法は巻末に全部まとめて書いてあります。方法を知りたいだけの人にとっては、そこだけ読めば良いので、本文はやや冗長に感じるかもしれません。

ただ、本記なかなか面白いと思ったのは、実験方法やアメリカ社会の記述が興味深かったから。心に傷を負った人がどのような回復の過程を辿るか調べるのに、9.11の遺族を調査したり、失恋をしたばかりの人のMRIを撮ったりするのが、アメリカらしく興味をそそられました。緑を目にすると集中力が高まることの実例としては、シカゴで黒人の貧困層が住んだ団地を実験場に、部屋から見える景色と集中力との関連性を裏付けています。

また、ここでも瞑想や、外交型/内向型に通じる考えが出てきて、近年の自己啓発のトレンドを感じました。曰く、自然の造形などに畏怖を感じやすい人は、控えめ、謙虚で、自分の強みと弱みを把握している傾向にあるのだとか。感動を覚えやすいのが内向型の特徴なので、共通点があるように感じます。ただ、ストレスを軽減させてくれる畏怖の念にも、恐怖が入ると(災害の映像から感じる畏怖など)逆効果になってしまうようです。

自分自身、逆境にさらされると考えすぎによってさらに気が滅入ってしまうことがあり、本書で紹介されている方法を試したいと思いました。集中力を上げるために緑を見るには、必ずしも本物の緑でなくても、写真でも、バーチャルでもいいそうで、職場にポスターでも貼ってみようかと考えています。

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